撮影日記


2016年01月11日(月) 天気:曇のち晴

生まれ変わったバッテリー
FUJIX DS-505Aの試し撮り

FUJIX DS-505Aは,1996年に発売されたディジタル一眼レフカメラで,ニコンFマウントのレンズを使うことができる。撮像素子は2/3型の130万画素CCDであるが,ボディ内に縮小光学系が組みこまれているために,ライカ判と同じ感覚でレンズを使うことができるという大きな特徴がある。そのかわり,ボディはとても厚みのあるものになり,その外見はディジタル一眼レフカメラというよりも,中判一眼レフカメラのようである。
 FUJIX DS-505Aは,1995年に発売されたFUJIX DS-505のマイナーチェンジモデルである。DS-505ではISO800とISO1600だった感度設定が,DS-505AではISO800とISO3200になったことなど細かい改良がなされている。もっとも大きな変更点としては,本体価格がDS-505の110万円から,DS-505Aの89万円へと,大幅に下がったことをあげておこう。

このたびいただいたFUJIX DS-505Aは,本体のほかに,バッテリーパック,ACアダプタ,メモリカードがそろっていた。ただしバッテリーパックが装着された状態で液漏れを起こし,盛大に塩を吹いて固着していて,動作しない状況であった。バッテリーパックをはずして清掃したところACアダプタでの動作が回復した(2016年1月4日の日記を参照)ので,つぎにバッテリーパックを分解して単4型Ni-MHを内蔵させ,バッテリーでの撮影もできるようにした(2016年1月10日の日記を参照)。これで,電源コードに煩わされることなく,屋外でも撮影ができるようになった。

FUJIX DS-505Aは,ニコンFマウントのレンズをそのまま使えるディジタル一眼レフカメラであるが,実際には使えるレンズに制約がある。ライカ判の範囲の画像を小さな撮像素子(2/3型CCD)にあわせて縮小するためのレンズが,ミラーの後方に内蔵されている。その縮小光学系と撮影レンズとの相性というものがあって,取扱説明書によれば,広角レンズやズームレンズは一部の大口径のものを除くと,「画面周辺でケラレが生じます」などの理由で使えないということになっている。

ファインダーに写る画像は,縮小光学系より前にあるミラーで導かれている。そのため,そのケラレはファインダーではまったく確認することができない。しかも,FUJIX DS-505Aには,撮影した画像を確認するための液晶ディスプレイが内蔵されていない。撮影した画像を確認するには,ビデオケーブルでテレビに接続するか,撮影した画像が記録されたメモリカードのデータをパソコンに転送して開くしかない。その場で簡単に確認できるものではないので,使いたいレンズの相性がよいかどうか,あらかじめ撮影して確認しておく必要がある。
 なお,50mm F1.4レンズは,取扱説明書に記載がない。AF NIKKOR 50mm F1.4Sは「◎」(レンズの性能を充分に発揮できます。)になっていたが,マニュアルフォーカスの50mm F1.4は記載がないのである。まあ,光学系に大差はないだろうから,たぶん大丈夫だろう。

FUJIX DS-505A, Ai NIKKOR 50mm F1.4

公園の水飲み場を撮りたくなる(2013年10月14日の日記を参照)のは,私の基本的な習性である(笑)。
 これはホワイトバランスや露出調整など,カメラまかせで撮ったものだ。じつに,すなおに撮れている。130万画素(1280ピクセル×1000ピクセル)なので,パソコンのディスプレイ上で拡大すると,さすがに細かいところが不鮮明であるものの,一般的な大きさに縮小して見るならば,じつにすっきりした描写である。とくに大きく出力する必要がないならば,じゅうぶんに現在でも通用する撮影結果である。
 FUJIX DS-505Aの感度設定は,ISO 800とISO 3200の2段階である。屋外での撮影では感度が高すぎるように思われるかもしれないが,そこにはDS-505Aならではの事情がある。内蔵された縮小光学系のため,開放F値が,F6.7相当でしかない。だからコンパクトカメラに内蔵された「暗黒ズーム」ほどではないが,高感度に設定して使用するのがちょうどよいのである。
 なお,絞りは縮小光学系に内蔵されたものをカメラ前面にあるダイアルで設定し,レンズはつねに開放状態で使うことになる。カメラを構えたときに,右手の親指の位置にあるダイアルでシャッター速度を設定し,人さし指の位置にあるダイアルで絞りを設定するインタフェースを,ニコンの一眼レフカメラで最初に採用したのは,どうやらこの機種になるようだ。

最近,もっともよく使うレンズの1つに,AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-EDがある。2003年に発売されたこのレンズが使えるかどうかは,1996年に発売されたFUJIX DS-505Aの取扱説明書に載っていないから,実際に撮ってたしかめるしかない。

もっとも広角側(24mm相当)において,周辺減光等は気にならない。

FUJIX DS-505A, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED (at 24mm)

それに対してもっとも望遠側(120mm相当)では,周辺減光が顕著に見られる。Lomographyが言うところのトンネル効果ほどではないが,撮影状況によってはかなり気になるだろう。

FUJIX DS-505A, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED (at 120mm)

FUJIX DS-505Aは,1997年に発売されたOLYMPUS C-1400Lより以前に発売されたディジタルカメラ,すなわち「クラデジ」である(2015年9月10日の日記を参照)。撮像素子が130万画素というのは,現在の基準で考えれば「使いものになりそうにない」スペックである。画像処理のプログラムについても,現在のディジタルカメラほどの完成度には達していないだろうから,簡単に「きれい」な画像が得られるというわけではなさそうだ。しかしながら,発売当時はさまざまな業務で使用されることを想定されていた機種でもある。うまく使えば,かなり「きれい」な画像も得られそうだ。大いなる可能性を秘めた機種,ということになるだろうか。大きいのでいつも持ち歩いて使ってみる,というのは難しいが,もうしばらくいろいろと試してみようと思う。

さて,私がWeb上に「撮影日記」を書きはじめたのは,1997年1月11日のことであった。つまり今日から,20年目に突入である。いつまで続くかわらかないまま,だらだらと書き続けてきたわけだが,これもひそかに読み続けてくださっている方々や,さまざまな形でネタを提供してくださった方々のおかげである。長らくのご愛読に感謝を申しあげるとともに,今後も引き続きよろしくお願い申しあげたい。

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