撮影日記


2025年06月07日(土) 天気:曇のち雨

Nikon D40Xには非Aiニッコールを

博多で買ってきた,ジャンク品扱いのNikon D40Xの試し撮りをおこなった。結果として,問題なく撮影ができることが確認できた。

Nikon D40X, NIKKOR-N Auto 24mm F2.8

使用したレンズは,NIKKOR-N Auto 24mm F2.8である。Nikon D40Xの撮像素子は,いわゆるAPC-Sサイズのものであるから,できるだけ焦点距離の短いレンズを使いたい。24mmレンズであれば,ライカ判サイズのカメラでおおむね35mmくらいのレンズを使うときに相当する範囲の視野を得られる。

このレンズは,マニュアルフォーカスのニッコールレンズのうちでもごく古い,「オート・ニッコール」とよばれるタイプのものである。ライカ判の一眼レフカメラ用としてはじめての,周辺までじゅうぶんに高画質が得られる超広角レンズであるとされている(2016年3月28日の日記を参照)。もっとも,撮像素子が小さいNikon D40Xで使うのだから,周辺部の画質はあまり関係しない。
 ところで,Nikon D40Xはエントリークラスとされるデジタル一眼レフカメラである。コンパクトであるという利点がある一方で,中級モデルや上級モデルで取り入れられているような機能が省かれていたりする。とくに,ピントリングを動かすためのモーターを内蔵していないタイプのレンズでは,オートフォーカス撮影ができないようになっているのは,かなりの機能的な割り切りである。また,ほかのエントリークラスの機種と同じように,マニュアルフォーカスのニッコールレンズは装着できてもカメラに内蔵された露出計がはたらかないため,別の方法で露出を決め,露出関係もマニュアル操作で調整することになる。
 ニコンの一眼レフカメラでは,カメラボディと交換レンズとを接合するレンズマウントの形状が,1959年に発売されたNikon F以来,共通のものになっている。これを「不変のFマウント」と称してはいるが,カメラに機能が追加されるにしたがってさまざまな連動機構が追加されてきたため,装着できても機能がすべて使えるとはかぎらない。また,連動機構の影響でそもそも装着できない組み合わせも生じている。とくに,「オート・ニッコール」(および,「ニューニッコール」)とよばれる古いタイプのレンズは,それよりのちの新しいタイプのカメラボディには,いくつかの連動機構が干渉して,装着できない場合が多い。
 干渉する機構としては,Ai方式とよばれる露出計連動方式に対応したカメラボディに設けられている,絞りを開放から何段階絞りこんだかの情報を伝達するものがある。このピンは,Ai連動ピンとよばれる。この機構に対応した交換レンズ群は「Aiニッコール」とよばれる。これに対して「オート・ニッコール」および「ニューニッコール」は,「非Aiタイプ」のレンズとして扱われる。

もう1つは,絞りリングが最小絞りになっているかどうかを検出するための,スライド式のピンがある。このどちらか1つでも設けられているカメラボディには,「オート・ニッコール」タイプのレンズは装着できないのである。たとえば,Nikon D70のようなエントリークラスのデジタル一眼レフカメラでは,Ai連動ピンは設けられていないが,最小絞りになっているかどうかを検出するピンは存在するので,「オート・ニッコール」タイプのレンズを装着できない。

ところが,Nikon D40Xでは,このピンがスライド式ではなく,押し込み式になっている。押せば引っ込むので,「オート・ニッコール」タイプのレンズを装着するさまたげにならないのである。Nikon D40Xにはもちろん,Ai連動ピンもない。要は,Nikon D40Xでは,「オート・ニッコール」タイプのレンズを装着して,撮影に使用することができるのである。それならば,Nikon D40Xではむしろ積極的に,「オート・ニッコール」タイプのレンズを使うのがよいのである。

カメラボディに内蔵された露出計は,はたらかないわけだが,日光の当たっている花が白飛びせず,露出不足にもならず,背景がじゅうぶんに暗く落ち込むような露出を与えたいような場合は,カメラに内蔵された露出計を基準に補正するのもよいが,撮影した画像のヒストグラムを見て追い込んでいくのも,被写体に向き合っているような気がして,これはこれで楽しいひとときになるのである。

Nikon D40X, NIKKOR-N Auto 24mm F2.8
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