2025年06月16日(月) 天気:曇一時雨
146円のKマウントアダプタ
先週のことである。
久しぶりに,なにげなくAliExpressを覗いてみたら,SONY EマウントカメラにPENATX Kマウントのレンズをとりつけるマウントアダプタに,「146円」という価格がつけられているのが目に入った。安い。とにかく安い。しかし,慌ててはいけない。こういうときはたいてい,送料が高いのである。なにせ,AliExpressだから,海外からの発送になる。送料はきちんと確認しなければならない。ところが,この「146円」というのは,送料込みの価格らしい。ほんとうだろうか?半信半疑のまま,PayPayで支払い手続きをした。なんの問題もなく,PayPayの残高らか,146円が引かれただけであった。なにかのアカウント連携をしろだとか,このQRコードを読みこめだとかの指示はなにもこない。間違いなく,146円だけを支払ったことになったようである。
きちんと商品は,届くのだろうか。もし,届いたものが偽物だったり,粗悪品だったりしていたとしても,146円なら悔しくはない。ともかく,商品が安いうえに送料も含まれているのだから,届くまでにはそれなりの日数がかかるのだろうと,のんびり構えておくことにした。
ところが,支払いをおこなった翌々日の朝には,発売元から出荷されてすでに「空港に到着,出発待ち」ということになっている。夕方には,「輸出先を通関」「フライト待ち」となっていた。思ったよりも動きが速いが,きっとここから時間がかかるのだろうと思っていたら,その翌日には「輸入通関開始」「地元の空港に到着しました」という状況になっていた。この場合の「地元の空港」というのは,とりあえず日本国内に到着したということをあらわしていると思われる。そして,そのさらに翌日の夕方には,ヤマト運輸に引き渡されたという通知がきた。結局,支払い手続きをした5日後の夕方に,商品が届いたのである。
届いた商品の箱は大きく潰れていたが,なかのマウントアダプタそのものは,問題なさそうである。
商品自体も,しごくまっとうなものである。
ともかくこのマウントアダプタによって,AF RIKENON 50mm F2というKマウントのレンズを,SONY α7で使えるようになったのである。
このレンズは,ライカ判の一眼レフカメラ用としてはじめて発売された,オートフォーカス撮影が可能なレンズである。1981年にこのレンズとセットで発売されたRICOH XR6が,世界ではじめて市販されたオートフォーカスのライカ判一眼レフカメラということができる(2023年6月22日の日記を参照)。
このレンズでは測距のための機構,レンズのピントリングを動かすモーター,電源などが,交換レンズとして一体化されている。また,レンズの筐体にオートフォーカスを動作させるためのボタンがあり,カメラ本体と連動するような機構は用意されていない。そのため,理屈としてはKマウントのカメラであれば,どれとでも組み合わせて,同じようにオートフォーカスの一眼レフカメラとして使えることになる。
しかし,例外もある。
このようなおもしろいレンズは,フィルムのカメラだけでなく,デジタルカメラでも使いたいと思うようになるのは,自然な流れであろう。そこで,手元にあったPENTAX K100Dで使ってみようとした。ところが,PENTAX K100Dはペンタ部にフラッシュが内蔵されていて,そこが飛び出している。これと干渉して,AF RIKENON 50mm F2を装着することができない。
ニコンの一眼レフカメラは,「1959年のNikon F以来,普遍のFマウント」を1つのセールスポイントにしていた。理屈の上では,最新のカメラで古いレンズを使うことも,その逆に古いカメラで最新のレンズも使うこともできるのである。しかし実際には,さまざまな連動機構の変更などがあって,装着しても機能が制限されたり,その制限が大きくて実質的には使えなかったり,そもそも装着ができなかったりするような組み合わせも存在する。ペンタックスのKマウントも古くから使われ続けているマウントであるが,長く使われ続けているうちに,いろいろと制約が生じるようになってきているのである。
ともかく,SONY α7には,ペンタ部の飛び出しもなく,そもそもマウントアダプタを併用しているのでボディとの距離がじゅうぶんにあり,装着を妨げる要素がなくなっている。また,PENTAX K100Dとは違って,撮像素子がライカ判サイズのものなので,フィルムのカメラで使うときと同じような感覚で利用することができる。
発売から40年以上が経過しているが,まだオートフォーカスは動作しており,案外と実用的な動きをするので,楽しいレンズである。
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