2025年04月07日(月) 天気:晴
晴れた順光にはPLフィルタ
撮影レンズの前枠にはネジが切られていて,さまざまなフィルタなどを装着できるようになっている。よく使われるフィルタとしては,まず,プロテクトフィルタがある。これはレンズの表面を保護するためのもので,つけておくとなにかと安心できるものだ。しかし現在では,レンズの表面のコーティングは丈夫だからプロテクトフィルタは不要だ,と考える人もある。また,画質に影響が出ないように,フィルタを装着しないほうがよいと考える人もあるようだ。
しかし,デジタルカメラによる撮影が一般的になるより前,フィルムで撮っていた時代には,なんらかのフィルタを装着することが一般的だったように思われる。紫外線の影響の低減に効果があるとするUVフィルタやスカイライトフィルタを,プロテクトフィルタのかわりに装着したままにしているような人も少なくなかったように思われる。また,モノクロ写真を撮影する場合には,オレンジやイエローのフィルタがよく使いわけられていた。そのほかによく使われていたフィルタとしては,PL(偏光)フィルタがある。PLフィルタは,被写体で反射する余分な光を遮るために使われる。たとえば,水面やガラス面に反射する像を遮りたいときに使われる。
デジタル化された画像を調整する過程において,彩度を高くすると,印象の強い画像になりやすい。場合によっては明らかに不自然に見えるほど,彩度が高くされているケースもある。あまりに極端に彩度が高められた画像は,「彩度max」などと揶揄されることもある。しかし,ほどほどに彩度が高くなっているとなんとなくきれいに見えるので,彩度をあげたくなるのもしかたがないのである。
カラーポジフィルムでは現像後の原板を直接に鑑賞できるため,銘柄による特徴がわかりやすい。かつては,さまざまな銘柄のものが発売されていて,大まかには「コントラストや彩度が高くなる傾向のあるフィルム」と「コントラストや彩度が比較的落ち着いたものになる傾向のあるフィルム」とに分類できた。たとえば,コントラストや彩度が高くなる傾向のあるフィルムとしては,富士フイルムのVelviaやコダックのE100VSなどがあった。PLフィルタの効果をうまく使うとさらにコントラストを強調することができるため,これらの彩度の高い画像が得られるフィルムとPLフィルタとをあわせて使うこともよく見られたものである。
かつては必需品であるかのように考えられていたPLフィルタであるが,もっぱらデジタルカメラで撮るようになった最近では,あまり使わなくなっていた。すこしくらいの彩度やコントラストの強調は,フォトレタッチソフトウェアを利用すると簡単におこなえる。また,Raw形式で記録するとそこからJPEG形式などに変換するときに,彩度やコントラストなども含めてさまざまな調整をおこなうことにもなる。面倒ではあるが,Kodak DCS 460のようにRaw形式でしか撮れない機種や,Kodak DCS Pro 14nのようにJPEG形式で記録するよりもRaw形式で記録するほうが動作が軽快な機種も存在するのである。
サクラがちょうど満開となり,撮りごろである。しかしこの時期の空は,どれだけ晴れていても,やや白くかすんでいる傾向がある。黄砂や花粉などの影響もあるのだろう。白っぽい空を背景にしては,白っぽいサクラの花はいまひとつ目立たない。そこで今日は,PLフィルタを使ってみることにした。
まずは,いつものように北側から見下ろす構図である。お昼休みの時間帯にこのように撮ると逆光になるので,ここではPLフィルタを使わない。先週まで毎日のように大勢いたSAPを楽しむ人の姿は,今日は見られない。同じ場所であっても,撮る日を変えると,雰囲気はまったく異なってくるものなのである。(2025年4月4日の日記を参照)。
Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR ZOOM-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED
広島市内でもこのあたりは,河口から4〜5km程度しか離れていない。そのため,潮の干満の影響を大きく受ける。今日は先週よりもさらに潮が引いていて,雁木の石段のさらに下まで降りていける状態である。今日はここがSAPを楽しむ人たちの基地のようになっていないので,遠慮するものはなにもない。
Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR ZOOM-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED
そこから撮ると,南側から見上げるようになるので,まさに順光となる。PLフィルタの効果がよくあらわれていて,空がかなり暗く写ってくれている。サクラの花も,ここまで開花すると白っぽく写りがちである。しかしPLフィルタの効果なのか,サクラの花がややピンクがかって見えるようになっている。これも,好都合なことである。
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